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第19回
僕の言葉はそこまで届いていますか?


何事も無い日常の繰り返しの中で
少しずつ、少しずつ自分の中の狂気が膨らんでいく手ごたえだけがある。
その手ごたえは安寧に自らのうちで上り詰め、体調変化となって表れる。

食事をしながら吐き気を催す。
私の食べているそれは人が食べるものじゃないような気がしてくる。
沢山の生薬に絵の具をぶちまけて、油粘土で混ぜたような味覚。

繰り返される頭痛。
頭痛を通り越して右目を中心とした顔半分を消し飛ばしたくなる苦味。

自分が何も考えずに行動しているときがある。
今日は灰皿の中身を飲み込もうとしていた。
昨日は調理中にちょいと指でも切断しようかとしていた。
そんな思考がふとした瞬間に脳裏をよぎり行動の最初まで踏み出している。
そこで、ふと冷静になる。
自分のトチ狂いっぷりに呆れた笑いしか出てこない。

だが、破裂する寸前の風船ような張り詰めた感は寧ろ無く。
いつ落ちるとも知れない咲きすぎた椿の花のような心境。

時折、そんな自分のオカシサにほとほと困り果てて
誰かに助けてや貰えないか、などと言うメールを出してみたりもする。

何時もの様な日常の事柄をやりとりして終わったりする。
まぁ、時にはそれとなく体調が芳しくないのだと言って見たりもするが
それなりにおざなりな社交辞令染みた言葉しか返ってこない。
時には怒られたりもするが大体は変わらない。

「私も体調が悪いのだから、そういわれても困る。」
  尤もだ、それ以来そう言うメールはしないようにしている。
「病院に行かないからでしょ?自業自得じゃん。」
  一理ある、だがその病院に行く時間も金も無いのだ。
「大丈夫?心配だよ。」
  大丈夫ならこんな事は言わないのですよ。
「頑張りすぎだよ、無理はしないでね。」
  頑張らざるを得ないのです、無理しないと生きてられないんです。

そんなものであろう、相手にも自分の都合があるのだ。
と、自分自身に言い聞かせて下らないメールを出した自分が嫌になる。

何かをどうしても期待してしまう自分は余りにも愚かで下らない。

どうもされない。
何もありゃしない。
どうにもなりはしない。

そんな当たり前すぎる事ですら一々確認して自己嫌悪している。
自分がそんな事を言われる立場だってきっと何も出来やしない。
最初から優しく聞こえる言葉しか返ってこないと解っているのに。

煙草を煙らせて、音楽を流す。

「もう笑えない、もう笑えない、何も聞こえない、何も欲しくない。」

この状況でこんな音楽とは、と逆に可笑しくなって来る。

もう、いっそ何もかもが壊れてしまえばいいのかもしれない。
早く全てが終わってしまえばいいのかもしれない。
楽な逃げ道ばかりを探して、だらだらと生きているだけなのだろう。
終わらせる勇気も出ないまま。

もう笑えないわけじゃなく、もう笑いたくない。
何も聞きたくない、何も欲しいと思いたくない。

何も無い。


それではまた。

08/9/22


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