フードファイト  壱ノ膳  「 史上最強の大食い男登場!! 」



                              企画  野島伸司
                       セリフとストーリー 山崎淳也
                             ト書き   ねねお     日本テレビ系 2000.7.1〜9.16放送


登場人物
井原 満・・・・・草g 剛                    ゲスト(挑戦者)
田村麻奈美・・・深田恭子                    坂下陽一・・・・・市川染五郎
宮園冴香・・・・・宮沢りえ
如月鋭一・・・・・筧 利夫

三好悠子・・・・・八千草薫
宮園恭作・・・・・佐野史郎

九太郎 ・・・・・九官鳥(声・木村拓哉)
潮崎裕太・・・・秋場まなと

南 好子・・・・・緒沢 凛
和久井浩・・・・小林一三
朝倉かすみ・・・平田裕香



○宮園総合食品株式会社・地下・フードファイト試合場

牛丼対決の真っ最中。
大金を賭ける政界人、財界人。
トレーに乗せられる札束。
一心不乱に米をさらい、丼鉢を積み上げていくチャンピオン・井原満。
その横で屈強な体の挑戦者の男。
満の手が上がる。16杯目完食。次の丼が置かれる。
わずかな時間で平らげる満。また手が上がる。
挑戦者の男、手が止まっている。苦しそうである。
挑戦者の男、肉をつまむ。そこでピタッと動きが止まる。

満 「 ・・・・・(箸を止め、ちらりと挑戦者を見る) 」

挑戦者、肉をつまんだまま、うしろにゆっくり倒れていく。
満、舌なめずりをして、立ち上がる。

満 「 (挑戦者を見下ろして)俺の胃袋は宇宙だ。お前じゃ役不足だ 」

試合場を出て行く満。

宮園の声「 9連勝か・・・・・ 」


○同・会長室


試合の様子をモニターで見ている宮園総合食品株式会社会長・宮園恭作。
その横に妻の冴香。

冴香「 ええ 」

宮園「 少し、勝ち過ぎだとは思わないか 」

冴香「 ・・・・・・ 」


○つくし園・表

タクシーのトランクからダンボール箱を出す満。

運転手「 これで全部ですね 」

満 「 ありがとうございました 」

タクシー、去っていく。
大きなダンボール箱を抱える満。

子供たち「 満お兄ちゃーん! 」

園の子供たちが駆け寄ってくる。

満 「 おう! 」

子供たち、満に群がる。

満 「 (嬉しそうに)やめろよ、服引っ張ると破れるだろ。高かったんだぞぉ、お前ら 」

子供たち「 お土産は?! 」

満 「 あっち、あっち 」

子供たち、別の箱の方へ走って行き、中を開ける。

子供たち「 うぁ! チョコだぁ! 」

満 「 (微笑む) 」

麻奈美の声「 満さん 」

園のボランティア、田村麻奈美が駆け寄ってくる。

満 「 麻奈美さん。いらっしゃってたんですか 」

男の子「 何言ってんだよ。マーちゃんが来てるの見計らって来たくせに 」

満 「 お前、何言ってんだよ 」

女の子「 満お兄ちゃん、かわいそー 」

満 「 何だよ 」

女の子「 いくら好きでも、高嶺の花だから 」

麻奈美「 ・・・・・(はにかんでうつむく) 」

男の子「 テレてる、テレてるぅー 」

満 「 ・・・・お前らーっ! 」

笑いながら逃げる子供たち。楽しそうに追いかける満。
じゃれる満と子供たちを見て微笑んでいる麻奈美。
車椅子に乗った年配の女が出てくる。
園長の三好悠子である。

満 「 こんにちは、園長先生 」

悠子「 満、いつも悪いわねぇ 」

満 「 (ダンボール箱を差し出し)感謝するのはこれを見てからにしてほしいな。あいつらのメシのおかず。といっても、冷凍食品なんですけど 」

悠子「 満。あなたは私の誇りよ 」

満 「 冗談です。感謝しろなんて 」

悠子「 (首を振る) 」

満 「 いやだな、これ、うちの社の試作品だから全部タダなんです 」

悠子「 あなたはここを卒業してから、両親がいないっていうだけで、しなくてもいい苦労をいっぱいしてきたはずなのに。グレることもなく、あなたは誰でも知ってる一流企業の宮園総合食品に就職したわ 」

満 「 園長先生 」

悠子「 どこの課だったかしら 」

満 「 食品開発課です 」

悠子「 私だけじゃないわ。あなたはこの園の子供たち全員の誇りよ 」

満 「 誇りだなんて・・・・(ズボンをパンパンとたたいて)園長先生、ホコリしか出ませんよ 」

悠子と麻奈美、微笑む。
満、遊んでいる子供たちの方へ目をやる。
輪の中に入らず、一人でポツンと立っている男の子がいる。
潮崎裕太である。

満 「 あの子は? 」

麻奈美「 裕太くん。先週、ここに入ってきたばかりなの 」

満 「 新入りか 」

悠子「 あの子、入ってきたばかりの頃のあなたにそっくり 」

満 「 え? 」

悠子「 みんなになじめず、いつも暗い顔して一人ぼっち 」

麻奈美「 満さん、結構ネクラだったんですね? 」

満 「 何言ってるんだ、麻奈美さん。僕くらい明るくて社交的なヤツはいませんよ(と、麻奈美の手を取り)趣味は社交ダンスですし 」

満、麻奈美を抱き寄せて社交ダンスを始める。

麻奈美「 ちょっと、満さん! やめてくださいよ!! 」

子供たちが二人をからかう。

満、裕太の近くまで来ると、

満 「 ジャン! 」

裕太「 ・・・・・(冷めた目で満を見る) 」

裕太、立ち去ってしまう。

満 「 ・・・・・・ 」


○タイトル  「 フードファイト 」


○宮園総合食品株式会社・表(朝)

テロップ 「壱ノ膳」。
出勤してくる大勢のスーツ姿の社員たち。


○同・中(朝)

清掃員のユニフォームを着て作業をしている満。

満 「 (やる気のない顔で)・・・・・・ 」

満が操作する床を磨く機械がバケツの水をひっくり返す。
その水が、出勤してきた社員の足元を直撃。

社員「 (怒って)あっ! 何やってんだよ! 」

満、聞こえてないのか、そのまま行ってしまう。

社員「 おい! 聞こえないのか! 待て! 」

社員、満につかみかかろうとする。
上司の和久井浩が飛んできて、中に入る。

和久井「 (帽子を取って)申し訳ありません! 」

社員「 何なんだよ、コイツは! あんたんとこのバイトかよ! 」

満 「 (小さく)すいません・・・・ 」

和久井「 本当に、申し訳ありません! 」

帽子を取って謝る満。

悠子の声「 あなたはこの園の子供たち全員の誇りよ 」

社員、舌打ちして立ち去る。

満 「 またヤッちゃったよ・・・・ 」

同僚の朝倉かすみが来て、

かすみ「 アッタマきちゃうわよね 」

悠子の声「 あなたは誰でも知ってる一流企業の宮園総合食品に就職したわ 」

満 「 (つぶやく)食品開発課か・・・・ 」

帽子で顔を隠す満。


○同・会長室・前

エレベーターから降りる満、受付の前をスーッと通り過ぎる。

受付嬢「 あの、失礼ですが 」

満 「 (無視) 」

受付嬢「 (満を追いかけて)困ります! アポイントをお取りになってらっしゃるんでしょうか?! 」

会長室のドアが開き、冴香が顔を出す。

冴香「 いいのよ。通してあげて 」


○同・中

ソファに座り、賞金を数える満。その向かいに冴香。

満 「 俺に負けろって言うのか? 」

冴香「 これは会長の意向でもあるの 」

満に背を向けて座っている宮園。

満 「 ダンナさまのね 」

冴香「 あの地下クラブは、我が社の接待の一塊でもあるの。観客は政界や財界のトップばかり。その恩恵は計り知れないわ。老いと共に落ちていく食欲を他人に食べさせることで満たすと同時に、ギャンブルも楽しんでる。大金を注ぎ込み、どちらの男がたくさん食べるかを賭けている 」

満 「 有意義な金の使い道だ 」

冴香「 あの地下クラブは唯一の娯楽なのよ。それを失望させるわけにはいかないわ。聞いたでしょう? あなたが勝ったときの観客のため息を。強すぎるチャンプじゃ賭けの対象にならないわ 」

満 「 だから八百長か。俺は引退だな 」

冴香「 心配することないわ。ウラの事情を知ってるあなたには、正社員として優遇することを考えてるの 」

満 「 正社員? 」

冴香「 この不況のご時世、学歴のない孤児のあなたがこの一流企業に就職できるのよ 」

満 「 ・・・・・・ 」

黙って出て行く満。

冴香「 ・・・・・・ 」

宮園「 ・・・・・・ 」


○つくし園・外観(夜)

麻奈美の声「 みんな、ゴハンよー 」


○同・中(夜)

食事の用意がされている。
騒ぎながら入ってくる子供たちと満。

子供「 わあー! プリンだー! 」

暗い表情で隅っこに座る裕太。
麻奈美を手伝っている最年長の南好子。

好子「 プリンは、満お兄ちゃんからですっ! 」

麻奈美「 みんな、お礼言いなさい 」

満 「 いいよ、プリンくらいで 」

男の子「 俺、メロンが食べたい。シワシワの線がいっぱい入ってるやつ 」

女の子「 シワシワのメロンは高いんだから。いくら満お兄ちゃんだってムリよ 」

男の子「 何言ってんだ。一流企業だぜ。(満に)ムリじゃないよな? 」

満 「 ・・・・・・ 」

好子「 みんなそんなゼイタク言わない。さっ、席に座った 」

子供たち「 (ダレて)はぁぁい 」

それぞれの席に座る子供たち。

麻奈美「 それでは、いただきます 」

全員「 いただきますっ! 」

食べ始める子供たち。
プリンをガツガツ食べる裕太。

麻奈美「 (見て)裕太くん、ちゃんとゆっくりかんで食べなさい 」

裕太「 (無視して食べ続ける) 」

麻奈美「 どうしてあんなに急いで食べるのかしら? 」

満 「 (フッと笑う) 」

麻奈美「 (満を見て)・・・・? 」

満 「 フフ・・・・ 」

麻奈美「 ? 」

女の子「 いやっ、返してっ! 」

裕太、となりの女の子の食事を奪い取ろうとしている。

満 「 (裕太に駆け寄り)こらっ、何やってんだ! ダメだぞ、人のモノ取ったりしちゃあ 」

満、裕太の頭をなでる。
裕太、満の股間を蹴り飛ばして逃げていく。

満 「 (痛い)!! 」

麻奈美「 裕太くん! (満に駆け寄り)大丈夫ですか?! 」

満 「 (股間を押さえて)何とか・・・・・ 」

満、よろよろっと立ち上がる。
すると、ビリッとズボンが破れてパンツが見える。

子供たち「 あー、ピカチュー!! 」

満 「 (愛嬌振りまき)ピカチューゥゥゥ・・・・ 」


○同・表(夜)

ブランコに乗っているパンツ姿の満と、満のズボンを持っている麻奈美。

麻奈美「 裕太くん、早くにお母さんを亡くして、お父さんと二人暮らしだったんだそうです・・・・まだ痛みます? 」

満 「 いや、痛がるほど立派なモンでもないんで 」

麻奈美「 ? 」

満 「 それより、そのお父さんは? 」

麻奈美「 事件を起こして刑務所に・・・・ 」

満 「 ・・・・・・ 」

麻奈美「 だから、裕太くんが暴れるのは、またお父さんと一緒に暮らしたいからだと思うんです。問題を起こして追い出されれば、またそうできるって 」

満 「 (笑う) 」

麻奈美「 何がおかしいんですか? 」

満 「 別に 」

麻奈美「 食事のときも笑ったじゃないですか 」

満 「 何て言うか、あの子のことで一生懸命になってる姿が微笑ましいっていうか。やっぱりあなた、育ちのいいお嬢さんだね 」

麻奈美「 バカにしてるんですか?! 」

満 「 そうじゃないよ 」

満、麻奈美の目の前に立つ。

麻奈美「 ! (満のパンツから目をそむける) 」

満 「 失礼。(離れて)でも・・・・大学で社会福祉を専攻しているだけのボランティアのあなたには、あの子の気持ちがわからないのは無理もないって 」

麻奈美「 じゃあ、あなたはわかるって言うんですか? 」

満 「 怒ってるトコ申し訳ないんですけど、ズボンは? 」

麻奈美、抱きしめていた満のズボンを返す。

満 「 すいません・・・・・すいません 」

満、ズボンをはく。

満 「 もし・・・・近い将来、核戦争が起こって自分と他人だけが生き残ったら、あなたなら目の前の食べ物をどうしますか? 」

麻奈美「 もちろん、二人で分け合って食べます 」

満 「 他人は何もしてくれないのに? 」

麻奈美「 人は助け合って生きていくものじゃないですか 」

満 「 そうしてもらったことがない 」

麻奈美「 (え? と、満を見る) 」

満 「 (笑って)きっと、前にいたところではお父さんと一緒だったとしても、そういう境遇だったと思うんだよね。彼はあの小さな体で常に飢えや孤独という恐怖と闘っていた。満腹になったとしても次の保障はどこにもないから、食べる食べるひたすら食べる。目の前にある物をすべて食べつくす。ガブ、ガブ、ガブ・・・・・(麻奈美を見る) 」

麻奈美「 (満をじっと見つめて)・・・・・ 」

満 「 ・・・・それが他人の物だとしても 」

麻奈美「 ・・・・・・ 」

満 「 ・・・・・僕はこれで 」

満、去りかける。

麻奈美「 あなたも・・・・ 」

満、立ち止まる。

麻奈美「 ・・・・あなたもそうだったの? 」

満 「 (笑って)ひひ・・・・おやすみなさい 」

去っていく満。

麻奈美「 (叫ぶ)あたし、そのパンツはどうかと思いますけど! 」

満 「 ! 」

ビリッという音。

満 「 あっ・・・・! 」

ズボン、また破れ、顔を出しているピカチュー。


○満のアパート・外観(日替わり・朝)


○同・中・満の部屋(朝)

台所で食事の支度をしている満。
質素な部屋の壁に貼られたポスター。中澤裕子の「カラスの女房」。
それをじっと見る男。満の幼なじみ、如月鋭一である。

鋭一「 お前は、こういうのが趣味だったんだな 」

満 「 九太郎の趣味だ 」

鋭一「 テレるな。九官鳥に趣味なんかねぇだろ 」

満 「 じゃあ、はがしてみろよ 」

鋭一、ポスターをはがす。

九太郎「 コラ! おい、コラ! 」

鋭一に飛びかかる九太郎。

鋭一「 !! 」

九太郎「 コラ! おめぇ、中澤は俺の女房だ! 何すんだ、俺の女房に! 」

九官鳥に襲われる鋭一。

鋭一「 !! うわっ! 」

鋭一、急いでポスターを貼り直す。

九太郎「 アッタマくんねぇ! 」

満 「 お前、九官鳥だろ 」

九太郎「 差別すんなよ 」

気を取り直して、ベッドに腰掛ける鋭一。

鋭一「 しかし、試合のたびに300万の賞金が入るってのに、自炊とはまたずいぶん質素だな 」

チャーハンを皿に盛る満。

鋭一「 あ、次の試合メニューは確かチャーハンだったな 」

満 「 お前の分ないぞ 」

鋭一「 ・・・・・・ 」

満 「 冗談だよ、食ってけ 」

鋭一「 いらん、いらん。次の対戦の練習だろ 」

満 「 (首を振って)次で負ければ、正社員にしてくれるそうだ 」

鋭一「 八百長ってことか? 」

満 「 これからは、イヤってほど食事ができる 」

九太郎「 おいしー、おいしー 」

満 「 そっ、おいしい、おいしいってな 」

九太郎「 (歌う)ウサギおいし〜 」

満 「 (歌う)かのやまぁ〜 」

九太郎「 わすれがーたすぅ 」

満・九太郎「 (ハモる)ふ〜る〜さ〜とぉ〜 」

鋭一「 親友なんだね 」

九太郎「 そうでもねぇよ 」


○宮園総合食品株式会社・地下・フードファイト試合場

鉄柵から中を眺める、挑戦者の坂下陽一。

坂下「 確か試合は1ラウンド10分の3ラウンドやんなあ。時間内に一皿でも一ミリグラムでも多く食べた方が勝ちか。要は短時間でどれだけ胃の中に流し込めるかっちゅうことが勝負のカギやんなあ 」

うしろで聞いている冴香。

坂下「 ラウンド間のインターバルは何をしてもええんやろ? ちゅうことは、食べたモンを吐いてもうてもええっちゅうことか 」

冴香、モニターのスイッチを入れる。
画面に映る、満の食べっぷり。

冴香「 これがあなたの対戦相手、井原満。9連勝中無敵のチャンプ 」

坂下「 (満の映像を見ながら)ふーん。9連勝かいな。強いんやろなあ・・・・(冴香に近づき)わしが勝ったら、賞金の他にあんたから祝福のキスもらえまっか? 」

冴香「 その約束はできないわ 」

坂下「 何でや? 」

冴香「 あなたは勝つことが決まっているから 」


○つくし園・園長室

悠子の車椅子を押す満。

悠子「 あなた最近ちゃんと食べてるの? この頃少し顔色が悪いわよ 」

満 「 仕事が忙しいんで。ちゃんと食べてますよ 」

満、車椅子のブレーキに手をかける。
その手を取る悠子。

悠子「 ほんとに? 」

満 「 はい、思いっきり。イヤだっていうほど 」

悠子「 まったく、早くお嫁さんでももらってくれれば、こんな心配しなくて済むのに 」

満 「 僕んとこに来てくれる人なんていませんよ 」

悠子「 そんなことないわ。あなたは両親がいなくても、ちゃんと真面目に一流企業に就職してがんばってるじゃない 」

満 「 ・・・・いやだな。そういう意味じゃなくって、僕、シャイなんです。女の人の前にいくとしゃべれないっていうか 」

満、窓を開ける。

悠子「 あなたには幸せになってほしいの。この園のことも、何も心配しなくていいのよ 」

満 「 どういう意味ですか? 」

悠子「 実はね、(と、机の引き出しを開け)ここ最近、匿名でこの施設に寄付してくださる方がいるの 」

悠子、銀行通帳を満に見せ、

悠子「 一度に300万もの大金。一度だけじゃなく、何度も 」

満 「 今どきそんな人もいるんですね 」

悠子「 何だか申し訳ないような気がして・・・・せめてお礼くらい言えれば・・・・ 」

満 「 そんなこと気にしないで、甘えていればいいんじゃないですか? その善意の第三者に 」

悠子「 でも・・・・ 」

満 「 きっとシャイなんですよ、その人も 」


○同・表

出てくる満。

子供たち「 満お兄ちゃーん! 」

子供たち、満を引っ張っていく。
裕太と洋介がとっくみ合いのケンカをしている。

満 「 こらっ、何やってんだ、お前ら! 」

満、二人を立たせる。

満 「 何があったか知らないけど、仲直りしろ 」

洋介「 だって、こいつがいきなり・・・・ 」

満 「 (遮って)洋介! 」

洋介「 ・・・・・・ 」

洋介、裕太に手を差し出し、握手を求める。

裕太「 ・・・・・(拒否) 」

満 「 しょうがないなあ 」

満、裕太の手を取り、握手させようとする。が、裕太、その手を振り切って逃げていく。
様子を見ていた麻奈美、裕太を追いかけていく。

麻奈美「 裕太くん! 」


○商店街

裕太を追ってきた麻奈美。
ある電気店の前で、真剣に店頭のテレビを見ている裕太を見つける。

麻奈美「 (近寄って)こんなところにいたのね? 」

裕太「 ! 」

麻奈美「 みんな心配してるわよ 」

裕太「 ・・・・・・ 」

麻奈美「 ねぇ、どうしてケンカなんかしたの? 新入りだからナメられちゃいけねぇ、なんて思ったりした? 」

裕太「 ・・・・・・ 」

麻奈美「 でも、暴力はよくないわよ。そんなことしても、何にもならないでしょ? 」

裕太「 ・・・・・・ 」

裕太が真剣に見つめるテレビ画面。
K−1選手が試合をしている。

麻奈美「 K−1好きなの? 誰のファン? 」

裕太「 ・・・・・・ 」

麻奈美「 ・・・・・(困り果ててため息) 」


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