旧いバイクと戯れる

レストア&メンテナンス

1966年式 富士重工 ラビットS211A

[5] 2005/10/09  エンジンブロー・・・・

 リアステップとFRP製作予定パーツを残して組みあがったので、慣らし運転を行いました。
 何事もなく慣らしが終わって調子に乗ってしまった自分はちょっと遠出をしてみることにしたのです。実は組み上げてからエンジンに少々の異音を感じでいたのですが、こんなものだと納得していたのです。騙し騙し乗っていたのですが、日に日になんとなく異音が大きくなっている気がします。そんな不安を少々抱えながら遠出をしてしまいました。
 よりによってXデーはその遠出の帰り道に・・・。70〜80km/hで走行中、特に回しすぎていたわけではないのですが、突然カツン!カツン!とクラッチを切らずにギアチェンジしたかのような衝撃を受けました。そしてその数秒後・・・エンジンは停止してしまったのです。エンジンに異常が起きたとは知らない自分は惰力で路肩に車体を移し、再始動しようとセルボタンを押したのですが・・・全く回らない・・・。もう冷や汗ダクダクです。ちょうどツーリングシーズンだったので、トラブルで立ち往生している自分たちの横をたくさんのバイクが通り過ぎていきます。
 場所を近くのガソリンスタンドに移し、ありがたいことに足りなかった工具も借りてシリンダを抜いてみました。当初自分は焼き付きが起きたのだろうと踏んでいたので、シリンダは抜けないはずだと思っていたのですが、意外や意外すっぽり抜けました。ですがピストンヘッドやシリンダヘッドはグサグサ・・・。何が起きたのかすぐには理解できませんでした。コンロッドをいじってみると動きが非常に渋い・・・。これはクランクベアリングかコンロッド大端が逝ったのだろうと見切りを付け、211をその場に置いて電車で帰宅しました。
 後日211をトラックに乗せて持ち帰りました。自宅作業場で早速エンジンをバラしにかかります。バラしているそばからエンジン内部より金属片が出てきます・・・。指に付いているのはその金属片です。

 無惨なピストンヘッド・・・。シリンダヘッドとの間で何かを砕きツブしたようなあとがあります。シリンダヘッド側にも同じような跡が・・・。

 ピストンサイドも深い縦傷が入っていますが、これは焼き付きや抱きつきが原因の物ではありません。かみ砕いた金属片がサイドにも回ったのです。

 さてその金属片とやらはなんなのか・・・。この写真が物語っています。コンロッド大端部ベアリングのローラー間隔が明らかにおかしいです。検証の結果、リテーナーもバラバラです。(リテーナーが壊れたためにローラーの間隔がおかしいのです)

 今回このような事態に陥ったのはちゃんと原因があります。
 
 1,2年ほど前にエンジンをOHした時のこと、当時内燃機の知識もロクにない自分が組んだエンジンはロクなものじゃありませんでした。OH代金の節約のためにクランクを修理せずにそのまま使用したのです。そのクランク、実は大端部の側隙などが修正限度外であったと思われます。

 大端部のニードルベアリングは、爆発によるピストンの運動の上下が切り替わる際にかなり大きな衝撃を受ける部分です。通常は筒形のベアリングほぼ全体でその衝撃を受けるのですが、ある程度ニードルが摩耗してしまうと、その衝撃を極端な一点で受けることになります。そうすると極端にベアリングの摩耗が進行します。そしてベアリングリテーナーに金属疲労がたまり、衝撃に耐えきれなくなった時点でベアリングが破壊され、その破片がいろいろな部分につっかかってエンジン停止に陥るのです。

 図で書くとこんな感じです。
<正常> <異常>

 青い丸はニードルベアリングのニードルです。実際はクランクピンやコンロッド大端の内径も摩耗しますが、この図では無視してあります。正常な状態(左)では、全てのニードルがクランクピンとコンロッド内径にぴったりくっつき、ピストンの上下運動により受ける衝撃をうまく分散させることが出来ます。しかし右の図のようにある程度摩耗が進むとニードルベアリングはクランクピンとコンロッドの間でフリーになり、コンロッドの上下のガタツキといわれるものが生じてきます。そうすると全てのニードルがクランクピン・コンロッド内径に接面せず、赤色に示されている部分のみで衝撃を受けることになる故に力が分散されず、異常摩耗したり、最悪は僕の場合のように破損したりします。
(ピストンが下向きから上向きに運動を切り替えるときは図の赤い箇所に負担がかかりますが、上向きから下向きに切り替わるときは当然反対側に負担がかかります)

 以上、あくまでも内燃機に関しては素人の考え方ですが、多分実際もこういうことなのだろうと思います。

 さて、次回からはエンジン修理編です。


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