旧いバイクと戯れる
レストア&メンテナンス
1966年式 富士重工 ラビットS211A
[21] 2006/03/22
エンジン組立!クランクを組み込む
さて、今日からはエンジンの組立です。
まずはクランクケースの左側にベアリングを挿入します。クランク軸を保持する大事なベアリングです。また同時に、燃料を他に漏らさないようにするためのオイルシールも挿入します。
まずはクランクケースを眺めてみます。溝が掘ってあるのが分かりますか?これはシリンダの下部までつながっており、今回挿入するクランク軸ベアリングにオイルを与える役割をします。301や601ではここに特殊なオイルシールが使われていたりしますが、211は何のことはない、普通のオイルシールです。
これがその普通のオイルシール(の代替品)です。純正と同じものを探しましたが、厚みが1mm小さいものしか見つかりませんでした。
一番最初の写真に写っていたのでお分かりかと思いますが、バーナーで軽くベアリングのはいる穴を暖め、ある程度暖まったらオイルを差して上からベアリングを軽く押し込むと、カポッっと嵌ります。
反対側にはこの向きでオイルシールを挿入します。これも熱膨張によるはめ込みでOKです。あくまでも炙るのは軽くです。炙りすぎてからオイルシールを入れると、(一応熱には強い素材だとは思いますが)最悪シールが変質してしまうかもしれませんし、クランクケースにも良くありません。
このオイルシールは純正より1mm厚みが低いので、何も加工していない純正(溝加工もしておらず、なおもって1mm厚い)状態よりかは溝を有効に活用出来ていると思います。純正にならって、オイルシールには溝をつけませんでした。
続いて、右側のクランクケース(兼チェンケース)にも同じようにしてクランク保持用のベアリングを挿入します。
はいできあがり!
裏側にも何カ所かベアリングを挿入する箇所がありますから入れておきます。
表側には先ほどのクランク軸ベアリングの他にオイルシールを二カ所挿入します。ファイナルドリブン(タイヤとつながる軸)とリアブレーキ軸です。
さてここでお高い修理費のかかったクランク(けど性能は最高!)を用意します。いやーあらためてみてもキレイです。新品と謳ってもイイでしょう!
このクランクはクランク軸を純正通りの太さに修正してあるので、挿入も大変なことは分かっています。ですから出来ることは全て試してみましょう。まずは基本、オイルを塗って手助けさせます。
続いて相方のベアリングの内径をドライヤーで熱します。ここでバーナーはダメです、ベアリングに千何百度の負荷を与えるなんてことはやってはいけません。値段は手頃でも立派な精密部品ですから。
で、これだけやって試しに挿入してみました。が、ここまでしか入りませんでした・・・。
ここからは頭を使いましょう。
クランクの端にはネジ(クラッチ側:M12 P1.5 オス)が切ってあるので、それを利用します。その利用例が画像の通りです。(説明不足か!)
するとちゃんとクランクがケースに収まりました!
この秘密ツール(というまでもないですが)の仕組みはこうです。クランク軸が中を通れるくらいのパイプにM8の寸切りボルトを通し、片方の端を、パイプを通らない大きめのワッシャなどの上からナット止めし、もう片方に下で説明するクランク軸との結合ツールをねじ込みます。
正直、このパイプはでかすぎです。クランク軸の長さだけあれば十分ですし、太さもクランク軸の一回り大きいくらいで良かったんです。でもなかなかそのサイズの在庫が見あたらなかったので仕方なくこれを使いました。
片方に付いていたのはこれです。この丸棒の端切れ、片側には寸切りボルトがねじ込めるようにM8P1.25のタップを立ててあり、もう片側はクランクにねじ込めるようにM12P1.5のタップを立ててあります。これで寸切りボルトとクランク軸が結合出来ます。
で、パイプの先のナットを締めていくと、クククッっとクランクがケースに収まっていきます。
さて、クランクがベアリングの端面に接するまで挿入したら写真のようにクランクの端(軸のそば)とクランクケースの端面の距離を測定します。結果は24.9mmでした。
次に反対側のケースで、ベアリングの端面とクランクケースの端面の距離を測定します。写真のような測り方をした場合は定規の厚みを引いておくことをお忘れ無く。結果は25.8-0.5(定規の厚み)=25.3mmでした。
で、それらの数値からケース結合後のクランクとケースの側隙を算出します。25.3-24.9=0.4mmです。マニュアルによるとこの隙間が0.1〜0.3mmになるように設定すると良いらしいです。
でどうするか!こんなモノが用意されていました(画像参照)。ダイナモ側のクランク軸とクランクケースの間に挿入するワッシャです。エンジンによっては入っていないモノもあり得ます。2枚入っているエンジンもあり得ます。これ1枚の厚みは0.2mmなので、一枚挿入すれば0.4-0.2=0.2mmとなるのでマニュアル通りとなります。
さて、続いてクランクケースの結合です。ケース両側を脱脂して、液体ガスケットを塗ります。薄く薄く、ちなみにここは耐熱・耐ガソリンのモノを使用します。
で、合体!とえらいあっさりですが、ここもベアリングとの嵌めあいがあるので大変です。マニュアルではクランクケースを上から叩いて挿入しています。確かに先ほどのジグの発想で嵌めようとするとせっかく嵌めた反対側が抜けてしまうおそれがあります。ここはマニュアルに習って叩きましょう。但し叩くのはオイルシールの外側あたり、クランクは叩いてはいけません。ちゃんとパイプ状のジグを通してケースを叩きます。こういうときプレス機があれば・・・。
あ、叩くのはベアリングを軽く暖めてから!叩くのもあくまでかる〜くです。クランクの芯をずらしてしまうと悲しいですから。終わったら六角ボルト6本で締め付けます。
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