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――今シーズン絶好調のタイガース打線にあって、繋ぎ役としてのお二人の貢献は、高く評価されています。 で、繋ぎ役といえばバントは欠かせませんが......。 赤星 来たなー、バントがー。 藤本 その話は危ないでしょう。失敗の数、僕がいっちゃん多いんすから。 赤星 お前はいいよ、まだ。 俺なんか巨人戦で、2試合続けて(5月30日、31日)大事な場面で失敗して......。 2試合目のノーアウト一、二塁の送りバント(注:小飛球になったが、ダッシュしたファースト・福井がはじき、 ノーアウト満塁に。その後打線が爆発して結果的に一挙、11点を奪う)は、前の日に失敗してなければ、 もっと気楽にいけたと思うんだけどなあ。 「あれを落としてくれたのはお前にはツキがある」って、みんなには慰められたんですが......。 藤本 僕、テレビで見てましたけど(注:5月27日に左ヒザ炎症で登録抹消)、 福井さんが一瞬画面から飛び出てきたと思った(笑)。 赤星 俺、視界になかったんだよな。福井が飛んできたのは。 藤本 バレーのアタッカーみたいだった。アレ、おもろかった。赤星さんの泣きそうな顔が。 赤星 泣きそうになるわ、俺も。取られてたらベンチ帰れんかった。 (フライが)上がった瞬間、バットで叩き落そうかと思ったわ。 藤本 気持ちわかるわ。 赤星 シャレにならんて。 バント失敗は技術ではなくハートの問題 ――翌日のバッティング練習はずっとバントしてましたね。 赤星 あのときは監督に声をかけられました。 「お前、失敗した理由わかってんのか」って言われて「構えとか技術の問題やない。こっち(ハート)や。 できるんだよ、お前は。ヘタじゃないんだよ」って。で、最後に「わかった?」 藤本 うわ、それ聞いて余計失敗できんようになった。 赤星 和田さんにはご飯連れてってもらいました。 特に和田さんは同じタイプで、2番をずっと打ってた方だし。「俺にもそういうことがあった」と。 開幕戦でバント失敗したらしくて、しかも初球空振り。そこから5,6試合はずっとバントできなかったらしいよ。 やっぱバントって精神的なものが一番大きい。 僕たちは子供の頃からバントやってるんだから、技術がないわけじゃない。 今は逆に開き直って、失敗したらしょうがないくらいの気持ちでやってます。 藤本 僕も失敗した後、一生懸命バント練習してたら岡田コーチに 「練習しても一緒や。今までどれだけバントしてきたと思っとるんや」って言われて、 「ああ、そうやな」って開き直れた。そしたら、ちゃんと転がるようになった。 ――バッティングそのものは、お二人とも絶好調ですよね。 藤本 去年までやったら、バット長く持ってちょっと長打狙おうかなんてね。 でも、あれだけショート陣がいると、とにかく1本でも多くヒット打って目立たなアカンから、 ボールに食らいつこうとバット短く持つようにしただけなんですけど。 あと、去年は結構エラーが多かったんで(苦笑)、岡田さんに「守備をキッチリやってればいいから」って言われて、 守備から取り組んだお陰で守りに不安がなくなり、気持ちよく打席に入れるようになりましたね。 赤星 俺は金本さんが来るってことで、普通に考えたら出られない状態でした。 秋の時点で、新聞にも今季のオーダーで俺の名前は全然出てないし、しまいには代走要員とか書かれるほど。 "センター濱中(赤星)"ならわかるけど、"代走要員・赤星"ですよ。 でも、守備と走塁だったら絶対負けないと思ってたんで、3割バッターになれば使ってもらえるだろうと、 フォームも変えて賭けに出た。それが裏目に出たら今の俺はなかったですよ。 まあ、いいほうに出るとはオープン戦の時点で確信してましたけど。 だから、ある意味スポーツ新聞には感謝してます。 ――現時点(6月22日)で首位打者。 赤星 出来過ぎですけどね、それは。やっぱ3割が最低限の目標。 むしろ今、出塁率が4割越えてるから、そっちにこだわりたい。打率は二の次というか。 藤本 もっと小さく構えればいいんですよ。 赤星 そしたら打たれへんやん。 藤本 死球があるやないですか。 赤星 まあ、そうやな。そういえば最近、当ててくれなくなってきた。 俺、今5,6個当たってるけど、そのうち3つは当たりにいってるもん。 それは大学のとき鍛えられました。僕、"当たり屋"でしたから。清原さんも逃げませんよね。 当たりそうにない球が当たっちゃうんだから、相手からすると怖い。ある意味脅迫ですよ、あれは(笑)。 でも、俺もそのくらいの気持ちで打席に立ってるんで、近いとこに来たら簡単には避けたくないな。 塁に出るのが先決だから。 ――藤本さんも定位置争いは熾烈でしたね。 藤本 僕も新聞に「ショートが一番頼りない」とか載ってて、黙ってられるわけないじゃないですか。 僕ももう26歳ですから、そろそろポジション取らんとクビも危ないし、 キャンプ前から「命懸けでいくぞ」って考えてました。 赤星 周りから見ても違ったな。 藤本 新聞記者にもあまり喋らなかったですもん。 聞いてくるじゃないですか、「今日は久慈さんとノック受けましたか」とか。 僕は「いや、人は人なんで」って、これしか言わなかった。 赤星 久慈さんが入って、藤本は相当プレッシャーかかったと思う。 藤本 正直、新聞に久慈さんが来るって書いてあるの見たときは、「来るな来るな」って心の中で叫んでました。 「ショートはもうええやろ」って(笑)。 赤星 新聞でも、久慈さんが開幕スタメンって書いてあったな。 藤本 去年、日変わりの先発ショートに慣れてて、今思うとそういう自分が情けない。 左ピッチャーが先発すると、出られないのが当たり前という気持ちになってましたから。 「失敗したらどうしよう」って、試合に出るのが怖い部分もありましたからね。 今年は「出してくれ」って感じですから。ケガで登録抹消されたときも、ゴネてゴネて。 10日は長かった。テレビ観戦もつまんなかったですよ、赤星さんのバント以外は(笑)。 10年後も盗塁王を獲る気持ちでやりたい ――赤星さんも去年はケガで苦しまれました。 赤星 3か月ですからね、僕は。 藤本 ホント、病人やったもん。 赤星 去年まで寮生で、藤本の部屋が真ん前だったんですよ。 たまに来てくれるんだけど、「どうしたんすか!?こんな真っ暗にして」とか言われました。 藤本 ビックリしたわ。目疑ったわ、あの部屋だけは(笑)。 赤星 大体、カーテン閉めてたからな。引きこもりの人みたいに。 藤本 動けんから部屋きれいやったやん。いつもやったら汚いのに。 赤星 でもケガを怖がってはプレーできないですから。 昨日の藤本みたいに落球して足がボキッとか、そんなんやったら格好悪いけど。 藤本 えっ、あれ俺の落球になってんねや。 赤星 あれ、どっちかがジャンプして取らなアカンな。 藤本 ジャンプしても金本さんだし、跳ね返されそうですやん。 ――金本さんは100%自分が悪いって言ってたそうです。 赤星 でもベンチでは「何しよん、お前は」って言ってましたよ(笑)。 藤本 いや、帰りのバスもですよ。「邪魔すんなや」って(笑)。 ――二人とも将来のタイガースを背負っていく選手です。5年後10年後はどうなっているでしょう。 赤星 プロに入ったからには、せめて10年はやりたい。 やるからには、10年連続で盗塁王獲るくらいの気持ちでいきたいです。 逆に、盗塁できなくなったら諦めるくらいの決意でやっていきたいです。 藤本 自分の守備位置から考えて、10年やって34で守れるかなって不安もあるけど、逆にその年で守れるようやったら 一流選手になってるかなという自分の夢があるから、そこに挑戦していきたい。 ヤクルトの宮本さんには憧れますね。 赤星 で、お前はフライ取れなくなったら終わりやな(笑)。 藤本 んなアホな。昨日で終わりやん(笑)。 同期入団で年も1つ違いの赤星と藤本は、友達のように軽口も交わす。 その絶妙のコンビネーションは、明るいタイガースの未来を築いてくれるに違いない。 これで10年後も安泰だ。 |