阪神“逆襲サヨナラ”藤本、シリーズ流れ変えるデッカイV犠飛
◆ 星野監督がゲキ「嫁さんにエエカッコしてこい」 ◆
<阪神2−1ダイエー>
星野阪神が待望の初勝利を挙げた!
延長戦にもつれ込んだ日本シリーズ第3戦は延長十回、一死満塁から藤本がセンターへ犠牲フライを打ち上げ
サヨナラ勝ちした。
先発・ムーアが7回を4安打1失点に抑える好投、2番手・吉野も残りの3回を完ぺき救援し、サヨナラ勝利を演出した。
第4戦はきょう23日に同じ甲子園球場で行われる。
◆ 甲子園で猛虎が甦った ◆
甲子園80年の歴史でも最大クラスと思える轟(ごう)音が、銀傘に反響した。
スタンドにいる5万人、そして全国の野球ファンの視線を一身に集めたのは、奇跡への扉をノックした男、藤本だった。
打って、すぐに確信した。
十回一死満塁。篠原の甘い初球カーブを狙い、センターに高々とフライを打ち上げた。
どんな強肩でも、本塁返球は不可能な飛距離だ。
「飛んでくれ、飛んでくれ」
祈りながらたどりついた一塁でもう、走者の矢野と抱き合っていた。
「一瞬、記憶が飛んだかと思うぐらいで…」
愛すべき“マスコット”へのナインの祝福は過去のどんなサヨナラ劇よりも激しかった。
試合中に星野監督が叩き込む怒りの蹴りを、ベンチ越しに受けることばかりが注目された昨年。
その男が成長を遂げ、窮地に立たされた虎を救った。
一言で、勇気をもらった。
前の矢野が敬遠される間に、指揮官に呼ばれた。
首のあたりをもまれながら、耳うちされた。
「ヨメさんに、ええカッコ見せてこい!」。
リーグ優勝を決めた9月15日夜に、元タレントの裕貴夫人(23)と入籍したばかり。
男になりたい。
「最後の気合を入れてもらった」という背番号9が、テレビ観戦の愛妻に雄姿を見せつけた。
移動日に加え、雨天中止となった21日も西宮市内の自宅でくつろいだ。
「過去のことは振り返りたくないんで…。テレビも見ないようにしてました」と、新たな戦いに集中した。
野菜嫌いも忘れさせてくれる夫人の手料理が、癒しになった。
守備でムーア、吉野を支え、八回には送りバントを決めた。
大舞台での堅実な仕事は、今年1年の経験の成果。
新監督に就く岡田守備走塁コーチに見出され、ミスがあっても定位置を任された。
信頼、我慢という星野阪神のキーワードを具現化した小兵は「攻撃前に、一死満塁で自分に回るなって考えてました」と、
重圧を楽しんでいた。
「勝ってない硬さがあったけど、これで、ほぐれたんじゃないかな」
星野監督の顔に、シリーズ初めての笑みが浮かんだ。
微妙な判定に自ら抗議に出るなど、必勝を求めた甲子園初戦。
ズレータ、鳥越とダイエーに続いたチームを勢いづける伏兵が、阪神にも出現した。
止まっていた猛虎の時計が、六甲おろしとともに動き出した。
スポニチOSAKA10月23日付