奥さんにええ格好できた 伏兵・藤本がサヨナラ犠飛


    延長10回裏は4番から。
    藤本は「(8番の)自分には1死満塁なら回ってくるな」と考えをめぐらせていたという。
    1死から四球と右前打で一、三塁となり、矢野は敬遠の四球。
    自分の考えた通りの展開になった。
    打席に向かうとき、星野監督に声をかけられた。
    「嫁にええ格好見せてこい」。
    もう一度同じことを言われ、頭をたたかれた。
    「リラックスは初めからできていた。最後に気合を入れてもらったという感じだった」
    鋭いスイングで初球を思い切り振り抜くと打球は大きな弧を描いて伸びた。
    中堅手・村松が捕球したが三塁からアリアスが悠々生還。
    史上初のサヨナラ犠飛となり、ナインからもみくちゃにされた。
    この日も見せた好守でチームの弱点といわれた遊撃の座を開幕から守り、127試合に出場。
    打撃でも最終戦で2安打を放ち、プロ3年目で初めて打率3割をマークする堂々の成績だった。
    しかし、深めた自信は胸に秘め「普段通りにしよう、(シーズンと)変えんようにしよう」と心に決めて頂上決戦に臨んだ。
    星野監督に声をかけられたように、リーグ優勝を決めた9月15日に結婚したばかり。
    この日奥さんはテレビ観戦だったというが「生活面で支えてもらえるのが大きい。嫌いな野菜を無理やり食わされてますからね」。
    ヒーローは照れながらも感謝を口にし、笑みを浮かべた。





    スポーツナビ10月23日付