猛虎お目覚め! 藤本のサヨナラ犠飛で大逆襲を予告
雨上がりの甲子園で猛虎がお目覚めだ。
破壊力抜群のダイエー打線をムーア−吉野の継投で“スミ1”に抑えた延長十回、
セ最強の8番・藤本敦士内野手(26)が一死満塁からシリーズ史上初のサヨナラ犠飛。
3戦目で星野仙一監督(56)に初勝利をプレゼントし、大逆襲を高らかに予告した。
◇
あの日、の光景に似ていた。
次打者の藤本の左肩を星野監督が揉みほぐす。
手短にアドバイスすると、もう一度強く揉んだ。背中を叩き、打席に送り出した。
阪神にとって、18年ぶりの日本シリーズ勝利の“決め手”は、そこにあった。
延長十回、一死満塁。篠原の初球を狙った打球は中堅に高々と舞い上がる。
そして、サヨナラ勝ちの儀式が始まる。
「監督に気合を入れてもらった。闘争心が沸いた。最後のひと押しをしてもらいました」
リーグ優勝を決めた9月15日。
デーゲームの広島戦で赤星がサヨナラ打した時と同じ情景。
闘将は、藤本の耳もとで叫んでいた。
「嫁さんにいいカッコしてこい。和田(打撃コーチ)がいつも言っているように
両脇を開けずにショートの頭上を越えるように打っていけ!」
檄をハートに刻んだ藤本は、本能を研ぎ澄ます。
高めに入るスライダーをとらえた。打球は背走する中堅手・村松に捕られたが、三塁走者のアリアスは楽々生還。
連敗発進の重い空気を払拭する、本拠地初戦での最高のフィナーレだ。
「記憶が飛んだ。なにも覚えてない」
チームメートからの手荒い祝福。大観衆から拍手喝采を受けた藤本。
「繋ぎの野球。うまくポンポンと繋がった」。
一死一塁から右前打で一、三塁とし、サヨナラのお膳立てを整えた選手会長の桧山もお立ち台を眩しそうに見つめていた。
リーグ優勝を決めた9月15日に、1年間交際をへて裕貴夫人(23)と入籍。
この日は残念ながら芦屋市内の自宅でテレビ観戦となったが、愛妻に捧げるひと振りとなった。
「野菜は嫌いだけど無理に食べるようになった」。
前日21日の夕食は野菜たっぷりのカレー。愛妻の味で、気分をリセットしていた。
「過去の事は振り返らない」。
敵地でまさかの2連敗。
19日の試合後は脱水症状のため左足がつって歩けなくなった。それほどまでに、全力プレーを続けていた。
「いいカッコしてくれたらそれでいい」。
待望のお立ち台での勝利監督インタビューを終えた星野監督の目は、心なしか潤んでいるように見えた。
「あれで打たなかったら(嫁さんに)家に入れてもらえないですよ」。
ヒーローは最後に、最高の笑みを見せた。
沈滞していたムードは激勝とともに、ガラリと一変。流れは、変わった。
逆転日本一の道が開けた。
★藤本一家総出の大応援
頼もしい応援団がいる。
藤本の父・和幸さん(54)と母・紘子さん(58)は福岡ドームの日本シリーズ第1戦から第7戦まで全戦観戦予定。
いつもスタンドから息子を応援し続けている。
「全部、来てますね。一人ではできないことは一杯ある。嫁とか家族と支え合ってのボクですからね」と藤本。
23日の日本シリーズ第4戦には夫人の裕貴さん(23)も観戦予定。藤本一家総出での大応援となる。
◆藤本のサヨナラ犠飛に、阪神・和田打撃コーチ
「振りまわすところがあるからな。よく、コンパクトに振ってくれたよ」
サンスポ.com10月23日付