藤本が決勝打!3試合連続安打で正遊撃手の座ガッチリ


    もう放さない、放したくない! 気持ちがバットに乗り移っていた。
    猛虎のウイークポイントと言われ続けた『正遊撃手』に、藤本が今、ガッチリと両手をかけた。

    2−3と逆転された直後の六回だ。相手ミスで同点に追いつき、なお無死三塁。
    押せ押せの場面で、1ボールから若田部の2球目、125キロのフォークを迷わず叩く。
    振り抜いた分だけ、執念のゴロは前進守備の一、二塁間を破っていった。

    「結果、ああなって良かった。いい場面で打てて良かったです。和田さん(打撃コーチ)にも『思いきって行ってこい』と言われました」

    モヤモヤした苦しい展開で、大きな決勝点。一塁ベースで両手を叩き、そして握り締めた。
    この日も2安打。開幕全3戦で安打を放ち、10打数4安打。
    守備はもちろん、8番打者として文句ない働きを見せている。

    「自分の力を出せれば、レギュラーを獲れると思ってますから。チャンスはもう、手放したくないんです」。
    今年、繰り返している言葉だ。

    久慈、関本、秀太、沖原…。03年の遊撃手争いは、大激戦で始まった。
    常に“万年1番手”は藤本だった。

    期待された2年目の昨年、開幕GT戦にスタメン出場しながら、結局わずか63試合出場、29安打にとどまった。
    あと1歩、抜け出せないもどかしさ。
    沖縄・宜野座キャンプでの朝の発声では、言葉に詰まって星野監督からダメ出しされ、
    気合を入れ直すため、丸刈りにしたこともあった。

    行き着く先は、自分自身。自分を信じる。
    出来ることもやらずにレギュラーなどないと、身にしみて感じてきた。
    そして掴み取った28日・開幕横浜戦のスタメン。

    「去年はガムシャラ。今年は緊張感の中で、意外と落ちついている自分がいるんです」。
    競争を勝ち抜いた自信が、3年目を迎える若虎をひと回りたくましくさせた。

    「今はチームのことしか考えていない。守らせてもらっているわけだから、ミスなく、普通にやりたいです」

    普段通りに、最高のスタートを切った開幕カードを終え、さらに気持ちを引き締めた。
    藤本が本当に一本立ちした時、03年猛虎は完成する。


    【そのとき】
    藤本の実家、兵庫・明石市の焼き鳥店『万』では、開店の仕込みをしながら
    父・和幸さん(54)と母・紘子さん(59)がテレビ観戦した。

    「レギュラー? いやいや、まだまだ始まったばかりですから。ホッと? 少し…。でも今年は何とかしてくれると思ってました」
    と紘子さん。

    23日のOP最終戦(近鉄)後、所用で帰宅した際に『優勝』という言葉を口にした息子から、並々ならぬ意気込みを感じたという。
    「あとはケガなく、思いきりやってもらえば」。
    前日29日には店に応援団13人がやってきて、トランペットや太鼓で大テレビ応援。
    熱い声援を、店から送り続けている。




     サンスポ.com3月31日付