藤本 プロの貫録


    意地にかけてはナンバーワンだ。
    初回に中前打、二回と四回は四球で出塁。そして、七回には無死一塁から左中間への適時二塁打。
    2打数2安打1打点。自らも2度、本塁へ生還した。
    藤本に始まり、藤本に終わったこの日の猛虎打線だ。

    「今日は楽に打たせてもらいましたからね」。
    「2番・DH」でのスタメン出場を“楽”だと言い切った。しかし、DH出場は、決して“楽”ではない。
    守りに入らないため、打席でのリズムが狂う。
    それでもあえて口にしないのが、3割打者としてのプライドだ。

    前日28日、オープン戦の開幕オーダーに、自分の名前はなかった。
    「遊撃・鳥谷」のスコアボードを横目に、ベンチ前でスイングを繰り返したが、出場機会は最後まで巡ってこなかった。
    チーム力の底上げとして、鳥谷に経験を積ませたい首脳陣の意図は分かる。
    それでも、やりきれない思いは抑えられなかった。

    「(実戦で)自分の調子をしっかり上げていくことが大事。ちょっとイライラしますね」。
    出場機会の少なさに、藤本は本音を語る。
    それでも、2軍監督時代から“秘蔵っ子”として育てた藤本の活躍に、
    岡田監督は「昨日のうっぷんを晴らしたんちゃうか?」とほくそえんだ。

    「こんなにゆっくりしていていいのかな?ベテランみたいに」。
    ハングリー精神だけは、ベンチにいた時と変わらない。
    黄金ルーキーとの勝負の行方は、見えつつある。





    デイリースポーツonline3月1日付