生後2〜3ヶ月の頃から、急激に湿疹ができる赤ちゃんがでてきます。(個人差がもちろんありますが)それは、赤ちゃんの個体としての免疫機能が発動しはじめたからです。
見知らない刺激で免疫がどう反応していいか、まだマニュアルができていないばあい、とりあえず、何にでも反応してしまうのです。赤ちゃんの人見知りと同じだと考えてください。その反応物質に何回か出会ううち、反応しなくてもいい物質であることが分かったら、反応しなくなります。この反応が乳児湿疹です。
そして、乳児湿疹が出来る赤ちゃんに多く見られるのは消化器官の未完成で、タンパク質を上手く分解することができず、これを反応物質の一つとして見なしてしまうのです。(これが食物アレルギーですね)概ね、この食物アレルギーによる刺激、母乳・よだれかぶれと云われる刺激、赤ちゃんが動きが激しくなったことによる衣服類との摩擦による刺激が、生後3ヶ月頃に急激に皮膚の油分が減少することによって起こる皮膚のバリア機能の低下が相乗作用となって、湿疹が悪化していきます。
赤ちゃんはこの時期、この刺激を通して免疫機能を働かせるマニュアルをつくっているのですから、その免疫機能を休眠させて一時的に治癒させる方法であるステロイドを使用することは、そのマニュアルの作成をさまたげることに他なりません。
湿疹は、生後6〜7ヶ月をピークに、消化器官の完成とともない、その他の皮膚刺激とも折り合いをつけ、沈静化の方向に向かいます。この期間は、とびひ等の感染に気を配りながら、石鹸等の使用を最小限に留め皮膚のバリア機能を奪わないようにして、亜鉛華軟膏などのベーシックな外用薬で、嵐が過ぎ去るのを待つように対処するのが、一番早いように思います。
本来乳児期とは、身体機能が未熟ゆえに湿疹と治癒を繰り返して、本人の体の機能のなかに治癒する能力と、本当に反応するべき物質を見分ける能力をたたき込む時期である。
だから、自己治癒能力が未熟な乳児に、自己治癒を期待するのは可愛そうと、ステを使用するのは間違いだと思う。考えてみれば、この時期は、人生で一番肉体的成長機能が活発な時期だから、成長に使う分をほんの少し治癒に回せばよいので、ひとたび自己治癒能力が機能し出せば傷の治りは本当に早い。
それをステロイドで代行させるというのは、小学校の1年生の書取りをワープロでさせるっていうことと同様だと思う。
忘れてならないのは、乳児の肌というのは、つい先日まで羊水という液体に守られて浮いた状態で、まったくストレスを受けることなく過ごしてきた肌であるということで、下着の縫い目と擦れた刺激だけで、簡単に傷ついてしまうものだから、湿疹等は当たり前である、という点である。
母親がすべきことは、この脆い皮膚をわんぱく幼児の生活に耐えていけるまでに鍛え上げることである。体育が苦手な子が逆上がりを習得するために、手に豆をつくって頑張っている時、母親は痛々しいからと、練習を止めさせるようでは、いつまでも苦手なままであるのだから、多少の試練は親子で乗り切るべし。
ステロイドとは、簡単にいうと、皮膚の修復ホルモンを外部から補ない、アレルギーを引き起こす免疫作用を封じ込める薬品である。膠原病などの免疫疾患に主に用いられている。
人間の身体は、楽な方に流されてしまいがちなので、長期に渡って修復ホルモンを外部から摂取しつづけると自分で分泌する機能が弱まる。また、免疫機能が封鎖されてしまうので、必要な免疫情報を外部刺激から得ることができず、免疫機能のチューニングを行うことができなくなってしまう。
したがって、乳児湿疹などにステロイドの使用を行うと、ステロイドを使用している間は症状を抑えることができるが、止めると、かえって悪化してしまうのは上記のような理由があるからである。