Mayerling 登場人物解説

サー・ケネス・マクミランが振り付けたドラマティック・バレエ、「マイヤリング」(ドイツ語読みと英語読みの違いで、マイヤーリンク、マイアリング、マイヤリンクなど、いろいろな表記があるみたいですけど)に登場する人物について解説します。(作品のイメージに合わせた背景色にしてみたんですが、暗すぎたかも…)


Bratfisch

まずは我らのマシュー・ハートの当たり役、ブラトフッシュから。 ルドルフの御者です。御者だから、冒頭とラストのマリーの埋葬シーンでは馬車の脇にたたずみ、そして車輪にもたれかかって嘆き悲しんでいたわけですね。マイヤーリンクにマリーを送っていったのも彼です。
  なかなか芸達者な人物でもあったらしく、ルドルフとマリーが心中する前夜には、口笛と歌で二人を楽しませたそうです。さすがに踊りまではやらなかったと思いますが。(笑) しかし考えてみれば、バレエは感情やストーリーをすべて踊りで表現するわけですから、口笛と歌を踊りで表現するのは至極当然のことですね。
  ラリシュ伯爵夫人の自伝には、「彼は善良で、ルドルフのためなら命も投げ出す。もしルドルフが馬車に乗って『地獄までやれ!』と命じたとしても、きっと近道をみつけようと努力するだろう。」と書かれています。


*以下はDVDのキャスト表の順に書いていきます。
Crown Prince Rudolf of Austria-Hungary  (1858-1889)

オーストリア-ハンガリー二重帝国の皇太子。わざわざ解説する必要ないっすね…。自由主義の考えの持ち主で、ハンガリーの独立運動に荷担していた。


Baroness Mary Vetsera  (1871-1889)

ルドルフの愛人。父親は外交官だったらしい。マイヤーリンクでルドルフとともに遺体で発見された。彼女の遺体は服を着せられ、生きているように見せかけて密かにマイヤーリンクから運び出され、ハイリゲンクロイツ(Heiligenkreuz)に埋葬された。伯父二人だけがつきそい、母親の参列も許されなかったという。


Countess Marie Larisch  (1858-1940)

ルドルフの従姉。エリザベートの長兄がバイエルン公爵家の継承を放棄し、女優と結婚して生まれた娘。彼女がマリー・ヴェツェラをルドルフに紹介したとされる。自伝では、頼まれて仕方なく協力しただけだ、むしろだまされて利用されたようなものだ、というようなことを書いています。


Princess Stephanie  (1864-1945)

ルドルフの妃。ベルギー王レオポルドU世の娘。ルドルフとの間に一人娘のエリザベートがいる。ルドルフの死後、再婚している。


Emperor Franz Josef of Austria-Hungary  (1830-1916)

オーストリア-ハンガリー二重帝国の皇帝。ルドルフの父親。DVDでは、Derek Rencher が演じている。メークのせいもあるだろうが、実物にそっくり。この人、「三人姉妹」では飲んだくれの軍医を演じている。


Empress Elisabeth  (1837-1898)

オーストリア-ハンガリー二重帝国の皇后。ルドルフの母親。ハンガリーをこよなく愛し、ハンガリー人のほうでもこの美しい皇后を敬愛していた。ハンガリーの自治を認め、オーストリア-ハンガリー二重帝国が成立したのは彼女の影響だといわれている。DVDのエリザベート役のニコラ・トラナーは、「三人姉妹」では長女のオリガを踊っています。母の愛を求めるルドルフと、我が子の愛し方が分からないエリザベートの葛藤の踊りは、どう見てもボーン版「白鳥の湖」にそっくり。正確に言えば、白鳥の方がこっちにそっくりなんですが。このニコラ・トラナーが次回の「白鳥の湖」で女王役を演じるというのだから、かなり楽しみである。


Baroness Helene Vetsera

マリー・ヴェツェラの母親。実物はスマートだったらしい…?


Archduchess Sophie  (1805-1872)

フランツ・ヨーゼフ皇帝の母親。ルドルフの結婚(1881年)以前に亡くなっているので、登場するのは本当はおかしいのだが。演じる Jacqui Tallis は、「三人姉妹」ではメイドの役をやっている。


Mitzi Caspar

高級娼婦で、ルドルフの愛人。ルドルフに心中を持ちかけられたが、断って警察に通報したらしい。演じるダーシー・バッセル、かっこいいですねえ。他の登場人物たちと異なり、生命力に溢れ、人生を楽しんでいる感じがありありと出てます。


Colonel 'Bay' Middleton

英国軍人。エリザベート皇后の乗馬友達。


Four Hungarian Officers

ハンガリーの独立のために奔走している(この時点では「自治」を認められているだけで、独立しているわけではない)。皇帝に対しては表面上は服従していながら警戒を崩さず、皇后に対しては心からの敬愛を捧げ、皇太子に対しては、時には気安い友人のように振る舞い、時には熱烈に、また時には脅迫まがいに独立を陳情する。皇太子を利用しているようにも見えるのだが。皇后とこの四人の踊り、ボーン版白鳥の女王と士官たちとの戯れに似ているが、こちらは戯れではなく敬愛を示しており、意味が全く異なっている。ところでこの四人組の踊り、何か笑える場面が多くありませんか?特にルドルフとのからみ。


Katherina Schratt

女優で、皇帝の愛人。


Alfred Grunfeld  (1852-1924)

作曲家。演じる Anthony Twiner はバレエ関係の音楽監督や指揮者をしている人。だから多分、カタリーナ・シュラットが歌うシーンでピアノを弾いている人かなあ?よく分かりません。ちなみに、弾いている曲自体はフランツ・リストの歌曲 "Ich Scheide" で、グリュンフェルトの作曲ではありません。


Count Eduard Taafe

首相。ボヘミア(チェコ)貴族で、1879-1883年に保守的な「鉄の輪内閣」を組閣した。チェコ人に有利な言語政策を行った。


Count Hoyos

ルドルフの友人。心中事件の時、マイヤーリンクに滞在していた。


Princess Louise  (1858-1924)

シュテファニー王女の姉。ルドルフとシュテファニーの結婚式のときには、すでに結婚している。結構奔放な女性だったらしい。DVDに付属しているリーフレットには「妹」と訳されているが、正しくは6つ年上の姉である。まあ、ダンサーを見れば「妹」と訳したくなる気持ちも分かるけど。
  演じるサラ・ウィルドーは本当に美しい。第一幕でルドルフと踊るのだが、最初は戸惑ったような表情で、夫の所に逃げ帰ったり、見つめられても目をそらしたりしていたのが、踊りが佳境に入ってくるにつれて、次第にうっとりとルドルフを見つめるようになる。その表情の変化があからさまではなくて、本当に微妙な変化なんだから思わず見とれてしまう。


Prince Philipp of Coburg  (1844-1921)

ルイーズ王女の夫。ルイーズたち姉妹の祖父、初代ベルギー国王のレオポルドT世の兄の孫にあたる。ホヨス伯爵と同じく、心中事件のときマイヤーリンクに滞在していた。心中事件に遭遇したのはシュテファニーの兄だと書いてある歴史の本もあるが、間違いだと思う。たしかにレオポルドU世にもフィリップという名前の息子がいるが、彼はルドルフの死後に生まれているうえ、幼くして亡くなっているから。
  DVDで演じている人、どこかで見た顔だと前から思ってたら、ルーク・ヘイドンだった。味がありますよね、この人。


Princess Gisela  (1856-1932)

ルドルフの姉。バイエルン公と結婚した。


Princess Valerie  (1868-1924)

ルドルフの妹。トスカナ大公と結婚した。


Loschek

ルドルフの忠実な従僕。


Count Larisch

マリー・ラリシュの夫。1896年に離婚している。二人の間には五人の子供がいた。






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